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エディタ・グルベローヴァ。

  • Hisa
  • 2016年11月10日
  • 読了時間: 3分

11月3日、愛知県芸術劇場大ホールにて

プラハ国立歌劇場公演 オペラ「ノルマ」を観てきました。

主役ノルマは、現代最高のプリマドンナの1人、

エディタ・グルベローヴァ。

この名前を知ったのは、学生時代の恩師の口から

ある曲をレッスン中に、

「あなた、エディタ・グルベローヴァの歌を聴いたことある?」

ときかれた時でした。

え?なんですか?舌かみそうです…

「知りません」

「これよ。聞いてみなさい。」

先生はレッスン室でCDをかけてくださいました。

聴いた瞬間の衝撃!

これが人の声なのか。

コントロールされた声、呼吸に

わからない言葉で歌っているのに

感情が伝わってくる。

曲が終わっても、しばらく呆然としていました。

「はい、じゃあ歌って。」

無理です、無理です!!!!!

それぐらいの衝撃でした。

それから、CDレンタルショップでグルベローヴァのものを探して、

借りまくり聴きまくる。

さらにはCDを買って、聴きまくる。

私はメゾソプラノで、全く色の違う歌手ですが、

グルベローヴァの歌を聴いて、

人間の声の魅力、声楽の深さを改めて実感しました。

その後、大阪でグルベローヴァが来るとのことで、

恩師にチケットを取ってもらい、

ついに同じ空間で声を聴いたのが、約20年前。

声、というよりも、息、呼吸に色がついて羽根が生えて、

私の耳元にぽーんと飛んでくるイメージ。

一番衝撃的だったのはppの美しさ。

ppを安定して、3階席の一番後ろまで届かせる技術。

このリサイタルの後、余韻がすごくて、

自分もコロラトゥーラソプラノの曲を歌いたくなるほど(笑)

そんな憧れのグルベローヴァ。

私が結婚、出産、育児なとで音楽と離れていた10年ほどの間にも

YouTubeでグルベローヴァの動画を観ては、

「もう生で聴くことはできないんだろうなぁ」

と思っていました。

が!!!!!

なんと名古屋に、ノルマを歌いにくるというチラシを見て、

何が何でも聴かなくては、駆けつけなくては!と

チケットを早々に買い、

「この日に元気に観に行けますように。

 子供もダンナも病気になりませんように。

 何よりグルベローヴァが無事に歌ってくれますように。」

と祈っていました。

もうすぐ70歳になるというグルベローヴァ。

私が20年前に観たときはきっと全盛期だったのでしょう。

でもいまだに現役で歌っていて、

オペラのツアーまで行っている驚き。

いくらなんでも、全盛期のような輝きはないかもしれない、

もしかしたら、美しい思い出のままにしておいたほうが

良かったかもしれない、とかいろいろ思いましたが…

オペラの幕が上がってから、その不安は吹っ飛びました。

最初のアリアで「?大丈夫かな?」ということはあったけど、

その後はぐんぐん調子を上げて、

出ずっぱりのノルマを見事に歌い切りました。

最後の「裏切り者は、私です」というところのpp!!!

今思い出しても全身に鳥肌が立ちそうな、

切なすぎて、体の奥から湧き上がってくる気持ちを

ぐーっとこらえないと、涙腺決壊してしまいそうな声。

手がちぎれるぐらい、もうこれで生で会うのは最後だ、と

グルベローヴァ自身の素晴らしさへ向けて、

スタンディングオベーションしました。

ベルカントの女王、と言われますが、

ベルカント 美しく歌う 

簡単なように見えて、とんでもなく奥深く、

でもやっぱり単純なことかもしれない、

ただそれを一定の水準を保って、

何十年も歌い続けることの難しさや努力は

想像がつきません。

グルベローヴァは、本当に奇跡的な方ですね。

書いていたら、止まりません(笑)

1週間たちますが、まだ余韻に浸っています。

自分が歌う時にも、グルベローヴァのベルカントを思い出し、

謙虚に、ひたすらに、努力していこうと思います。

Bravissima! Edita!!!

 
 
 

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